賠償すべき損害とは
交通事故の加害者が賠償しなければならない損害には、財産的損害と精神的損害があります。財産的損害はさらに既存の損害と将来の損害に区分されます。
つまり、次のように3つに大別されます。
- 積極損害(治療関係費)
- 消極損害(休業損害、逸失利益)
- 慰謝料
損害額の立証責任は被害者側にありますが、慰謝料の認定は裁判官の心証で決まる。
同一の事故でも、賠償すべき損害額は被害者の職業・年齢・性別などによって異なってきます。休業損害や逸失利益は被害者の現実の収入を基準に計算されるからです。
保険会社は契約に基づいて、賠償金の支払いをしますが、これは加害者が被害者に対して負う賠償額であることに変わりはない。
当事務所では被害者からの依頼を受けると、この区分により、損害賠償額の計算を行います。裁判所に提出する訴状を見ると損害の区分も同様な分類になっています。
積極損害
被害者の財産が減少したことによる損害である。
これには、治療費、付添看護費、通院交通費、家屋改造費、葬儀費用などがある。
消極損害
被害者の「収入が得られるはずのところが得られなくなった部分」の損害である。
これには、休業損害や逸失利益(死亡や後遺障害が残存した場合)がある。
慰謝料
精神的な苦痛に対する償い。死亡の場合は遺族固有の慰謝料も請求できる。
損害賠償を定めた法律
- 民法
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第710条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。
第711条 他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
○ 2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見し、又は予見することができたときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
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